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やまゆ

Author:やまゆ
大学図書館で司書のおシゴトしてます。読んだ本の感想や、本にまつわるあれこれについてお話しできればいいな。

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『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン著 青木千鶴訳/ハヤカワミステリ文庫

確かいつぞやのこのミスで1位を獲得し、なぜか日本で映画化され上川隆也が主演した小説。

結構分厚くて海外小説苦手な私には読むのに勇気がいった。でも思ったより難解な部分もなく、意外とすんなり読めた。
で、感想は中の上、と言えばなかなかのものだ(なんで上から目線なんだ?)。

いくつものペンネームを使い分けて二流小説を書いている主人公が、凶悪殺人犯の告白本執筆を依頼される。そこから新たな殺人事件に巻き込まれ、事件の真相を追っていくことに…。

第一発見者から当初容疑者扱いもされながら、結構自由に現場を動き回るのはちょっとあり得ん気もするけど、「夜行観覧車」(湊かなえ)もでも事件の当事者家族がどんどん動いてたので、そこをついてしまうと小説として成り立たないのか。あるいはホントに意外と動けるものなのか?
うーん、どっちかな。

でも、SFやミステリーやヴァンパイヤものなど、爆発的に売れずとも何作か続けられるような固定ファンもいるということは、別に売れないことを卑下するようなことはないんでないの?というのが率直な感想。ようはそれを卑屈に思うかどうかの個人的性格なんじゃなかろうか。


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『古書ミステリー倶楽部』ミステリー文学資料館編/光文社文庫

世田谷にミステリー文学館というところがあるのをご存じ? そこが企画した、古書を題材にしたアンソロジー。

せどり男爵数奇譚」に人間の皮膚を使って本を装幀する話があり、気持ち悪いなーと思ってたら本書にも掲載されていて、また読んでしまった…。やっぱ気持ちワル。

いやいや、そんなヘンな話ばかりではありません。戸板康二「はんにん」は小さい子どもの勘違いの微笑ましいもの。

他の作品とやや様子が違っていたのは、早見裕司「終夜図書館」。
ジュニア小説作家の主人公が連れてこられたのは、おびただしい数のジュニア小説を所蔵している不思議な図書館。ミステリアスな図書館がほかにも収集しているものとは…。

今でいうラノベを敢えてジュニア小説と呼んでいるところに、微妙なこだわりが感じられる。羅列してあるジュニア小説のシリーズは圧巻。私はコバルト文庫で終わって良かったかも。しかもこの作品、なぜか句読点やかぎかっこがほとんどない。実験的小説のようで、なんでこんな書き方なのか、そこが私にとってはミステリーだったりする。


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タグ: 古本

『ようこそ授賞式の夕べへ』大崎梢著/東京創元社

さあ、いよいよ成風堂とひつじくんのコラボです!

本屋大賞ならぬ書店大賞(フィクションですからね)授賞式前に届いた謎のFAX。真相を究明するひつじくん達出版社側と、成風堂書店の杏子と多絵。ついにご対面かと読み始めると、これがまた登場人物が多くて混乱。しかも皆限られた時間であちこち移動するし、過去の話も出てくるので正直分かり辛かった…。

でもやっぱりみんな本が好きで、
本に関わる全てのものに正直であれという気持ちが根底にあるので、心地よい作品なのだ。

現実の本屋大賞は、例年どおりだと来月から1次投票が始まる頃だろうか。
投票する書店員も大変だと思う。仕事も忙しい中いろんな本を読まなきゃ比較もできない。POPがうまい書店員や、あちこちに書評を頼まれる有名書店員など、作品中にも出てくるがホントに好きじゃないと難しい。

実はこの本読書メーターの献本で当たってもらったのだけど、長いこと読めずにすぐupすべき感想を今頃こんなところで書いてしまった。ごめんなさい。
しかも忙しさにかまけて、今年度自分の図書館で1枚もPOPを書いてない自分を呪う今日この頃でした。


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『背表紙は歌う』大崎梢著/創元推理文庫

ひつじくんシリーズ第2弾。

もちろん本がらみの本で、面白かったから続けて読んでるけど、
ひょっとしたら新人ビジネスマンにおすすめの本かも、と思う。

営業マンのイメージといえば、コミュニケーション、約束、行動力、身だしなみ、接待、etc. 社会人としての基本がなってないと、決して認められない。井辻くんは、どれもそれとなくきちんとこなしているのが随所に読み取れる。書店や作家に気遣いするだけでなく、他社であろうと先輩社員にもさりげなく下手に出る。新入社員はこれが意外と難しい。
既に内定が出てる人は、騙されたと思って今のうちにぜひ読んでみてね。

そんなひつじくんの趣味というのが、
なんと好きな小説の舞台をジオラマで再現するというもの。

「鉄道員」の駅舎、「ホワイトアウト」の雪山、「そして誰もいなくなった」の洋館を経て「八つ墓村」を手掛けるという。
そこまで凝った趣味なら作家さんもさぞかし喜ぶだろう。明林書房でパーツ付き週刊百科でも出せそうだな。

先日本屋で聞いた親子の会話。
息子「この週刊シリーズめっちゃええな」
父「これは最初だけ安くて飛びつくけど、後は高くなるから気を付けなあかんねんで」

父よ、一度はまったことあるだろう(笑)。


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『平台がおまちかね』大崎梢著/創元推理文庫

著者の大崎梢さんは、元書店員という経歴。
成風堂シリーズはその書店を舞台にした作品だが、こちらは出版社の営業社員のシリーズ。

明林書房の新人営業マン井辻くんは、きょうも担当の書店まわりに忙しい。同じエリア担当の佐伯書店先輩営業マン真柴に「ひつじくん」とからかわれながら、書店や作家たちとのちょっとした事件を乗り切る姿には、心あたたまること間違いなし。

それにしても出版社の営業とはこんなにも書店を毎日歩き回っているんだ、と意外な発見でした。そういえばうちの図書館にも、毎週のように営業さん来てるなあ。

いくら取次で本が勝手に割り振られて配本されたとしても、やはり出版社の人が直接来てくれたら、店員さんなら買ってあげたくなるよなあ。地道な努力あっての売上なのですな。

本書を文庫本で買った後に、古本屋で単行本初版を発見。なんと井辻くんの名刺がおまけでついていた! そっちを買えば良かったよ…。


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